家族の介護や家事を担い、そのことを周囲にも話しづらい若いケアラーの存在に気づき、声を聞いてほしい――。朝日新聞は13日にオンライン記者サロン「ヤングケアラーが語るリアル」を開催しました。10代から母を介護しながら、若いケアラーが語り合うコミュニティーを運営する宮﨑成悟さん(31)と、大学生から母を介護した畑山敦子記者(36)が、190人の参加者からの質問にも答えながら若いケアラーの実情や悩みを語り合いました。
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イベントは、記者サロンの参加者から寄せられた声や、宮﨑さんが運営するオンラインコミュニティー「Yancle community(ヤンクル コミュニティー)」で聞いてきた話を紹介しながら、若いケアラーの孤立や、やりたいことをあきらめざるをえない場合もある現実、働く上での課題などを話し合った。
宮﨑さんは大学時代、周囲に母を介護していることを隠し、「アルバイトで忙しい」と説明していた。「なかなか言いづらかった。言ったところで理解されないし、気を使われて誘われなくなるのもさみしいし。孤独だった」
宮﨑成悟さん 16歳から難病の母を介護するようになり、大学進学の一時断念や介護離職を経験。若いケアラーが悩みを語り合うオンラインコミュニティーを昨年から運営し、若いケアラーの就職・転職支援の経験もある。
畑山記者も大学3年の時に母が若年認知症と診断され、当時高校2年の弟と介護してきたが、学生時代も就職後の数年間も、介護していることを周囲に言わず、不安を話せる相手もいなかった。
畑山敦子記者 文化くらし報道部。若年認知症の母を弟と協力して8年介護。
宮﨑さんは「介護の問題を周囲に相談したところで、自分の時間を得られるわけでもない。何も解決しないと思ってしまう」と、相談するメリットを感じづらい現状を語った。
ヤングケアラーと気づき「うれしかった」
進学だけでなく、親が働けなくなって子どもがアルバイトで家計を支えたり、介護との両立に悩んで精神的に不安定になったりする人もいる。
宮﨑さんは「家族のケアは高齢者介護のイメージが強いと思うが、それだけではなく、脳血管疾患の後遺症、精神疾患、事故の後遺症、難病もある。いつ誰がなってもおかしくないと感じている」と指摘した。
家族の介護を担う子ども自身が、自分をケアラーだと気づいていない場合も多い。宮﨑さんは20代になって自身がヤングケアラーだったと初めて気づいた時、「うれしかった」という。
「これまで介護のために就職などに影響が出てマイナスだと思っていたことが、同じように介護している仲間がいることで、これでいいんだ、と初めて自分を肯定できました」
また「中高生や大学生で介護している人は、自分がヤングケアラーだと思わず、『手伝っている』という感覚だと思う。ヤングケアラーという名前がつくことで、大変な状況の時にアラート(警報)を出しやすくなる」とも語った。
この宮﨑さんの言葉には、参加…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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