中華鍋に大量の油を投じて、高い火力で炒めあげる。それが中華料理のイメージ。
ただ、このキッチンに中華鍋はない。選手の体調を考えると、油もあまり使えない。
さて、どうする――。
栃木県鹿沼市。東鹿沼駅から車で約10分、20人入れば満席になる郊外の中華料理屋「Chinese 恵泉」を営む石田篤さん(46)は8月19日から2週間、ラグビー日本代表のシェフとして、イタリアでの事前合宿に同行した。
妻と切り盛りする店で使う野菜は地元産。得意料理は餃子(ギョーザ)やしゅうまいで、季節ごとに上海ガニや伊勢エビと変わるコース料理が定番だ。
だが、イタリアでは選手のために貸し切られたレストランが主戦場となった。選手やスタッフ、約50人分の料理を作らなければならない。
午前4時起床。朝食の中華がゆの準備をする。フードコーディネーターらとその日のメニューを決めるのは、サッカー・ワールドカップ(W杯)でも5大会連続で代表の専属シェフを務め、ラグビーでもその役目を担う西芳照さん。そのメニューに合わせて、次々と調理していく。
選手が近くの宿泊所からやってくると、レストランは大にぎわいだ。朝食が終わると、すぐに昼食、夕飯と続く。ホテルに戻るのは午後11時ごろ。日が変わることもあった。
「店の味とアスリート用の味は変えました」
選手の体のことを考え、極力油は使わない。
「ラビオリみたい」 中華を超えたエビギョーザ
例えば麻婆豆腐。普通は中華…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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