JR北海道は17日、5月7日付で一部区間が廃止される札沼線(廃止区間は北海道医療大学―新十津川、47・6キロ)の運行を終えた。新型コロナウイルスの感染が拡大し、政府が全国に緊急事態宣言を出したため、急きょ前倒しを決めた。ラストランに向けて準備してきた地元関係者は事態をのみ込めないまま、85年の歴史に幕が下りた。
大型連休中に全国から鉄道ファンが集まるのを防ぐため、もともと定期列車の最終運行を5月6日から今月24日に早めていた。だが、緊急事態宣言を受け、最終日を17日にすることを前日夜に発表した。27日の沿線住民向けの「ラストラン運行」も中止した。
ラストランとなる列車は午前10時に新十津川駅を出発。駅前で開かれた式典では、新十津川町の熊田義信町長が「大勢の町民、全国の鉄道ファンを迎えて有終の美を飾りたかった。非常に寂しく、複雑な思いだが、85年間、風雪に耐えながら町民の足として生活を支えてくれた」と語った。
新十津川駅は「日本一早い終電」が出発する駅として知られ、全国から多くの鉄道ファンが訪れてきた。駅舎の清掃などの活動を続けてきた「新十津川駅を勝手に守る会」の三浦光喜会長(61)は、ラストランに向け18日に駅の清掃を予定していたという。最終列車を見送った後、「よく分からないまま終わってしまった。明日から人が来なくなるね」とつぶやいた。
多くの赤字ローカル線を抱えるJR北は経営難に陥っており、札沼線の一部区間の廃止について、新十津川を含む沿線4町と18年に合意した。代わりにJRが拠出する約18億円を使い、4月1日からバスの運行が始まった。また、新十津川駅周辺は札沼線の駅があったことを記念する公園として整備されるという。(長崎潤一郎)
札沼線のラストランとなった17日、新十津川へ向かう列車に乗車した。
■最終列車、乗客は1…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル