パソコンやサーバーのデータを暗号化するランサムウェア(身代金ウイルス)によるサイバー攻撃に関し、警察への被害相談が昨年4~12月に23件あったことがわかった。警察庁が4日発表した。
ランサムウェアに感染すると、データが暗号化され、復元するための対価を要求してくるのが一般的だった。最近はさらに、対価を支払わなければ盗んだデータを公開すると脅す「二重恐喝」のケースが目立つ。犯行のツールやノウハウが闇サイト上で商品として販売されるなど手口の拡散もみられるという。
被害が目立ってきたため、警察庁は相談件数を初めて集計した。昨年はゲーム大手カプコンが犯罪グループから二重恐喝を受けた事件が表面化。この事件を含め、警視庁や愛知、大阪、福岡など10都府県警に23件の相談があった。このうち二重恐喝の相談は7月以降に9件あったという。
情報セキュリティー大手のトレンドマイクロによると、昨年1年間に国内の法人から、ランサムウェア感染の報告が93件あった。警察への相談よりも多くの法人が攻撃を受けている実態がうかがえる。
一方、コロナ禍に乗じたサイバー犯罪と疑われる事案が昨年1年間で887件確認された。マスクのネット販売を装って代金を詐取したり、「お客様宛ての個人給付金を預かり中。口座に送金する」など不審なメールが届いたりするなどの事案があったという。
また、警察庁がネット上の不審なアクセスを検知・分析するために設置しているセンサーで昨年、平均6506件(1日あたり)のアクセスを確認した。前年の約1・5倍にあたり、大半はサイバー攻撃か攻撃の準備行為とみられる。発信元はロシア、オランダ、米国、中国が多かった。
インターネットバンキングの不正送金も1734件(被害額約11億円)発生していることなどから、警察庁は「サイバー攻撃やサイバー犯罪の手口は巧妙化しており、極めて深刻な情勢」としている。(田内康介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル