高校生の頃は、女性誌のモデルやアイドルグループに憧れた。そうしてダイエットを始めた。
首都圏に住む30代の女性は、15歳の夏をそう振り返る。
お昼のお弁当は「リンゴの皮」。夜には2時間、とりつかれたように歩いた。
そして体重計に乗った。
100グラム増えれば「終わった」感じで次の日の予定はキャンセルした。100グラム減れば、万能感で満たされた。数字が全て。「白か黒か」でしか受けとめられなかった。
身長156センチ。元々やせていたが、高校1年の夏に36キロまで落ちた。
極端に食べることを制限していたら、今度は、食べることが止まらない過食が始まった。やがて食べて吐くの生活になった。
「バレたくない」 周囲に言えなかった
高校卒業後、アルバイトで生計を立てた。20代半ばで正社員として就職した。
ただ周囲には「食べ吐き」の事実を言い出せなかった。
家族や友人、誰一人として打ち明けられなかった。「バレたくない」と必死で隠した。
付き合いで食べてしまうことが嫌で、人との食事は避けた。
それでも、職場の同僚と「おやつ」などを食べるように。少しずつ体重が増え、会社の健康診断では43キロとされた。30歳の時だった。
自分にとっては体重が全て。43キロは受け入れられない数字だった。体重計を前に「あぁ、ゲームオーバーだ」と絶望した。
記事後半では、医療機関が把握しにくい摂食障害について専門医が解説。「完璧主義」などが背景にあることや、家族や周囲のサポートが回復につながることについて話します。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル