愛知県立大学が、「県大」を再生させようとしている。過去数年間の試みはことごとく失敗に終わっていたが、今春からの新たな取り組みで兆しが見え始めた。カリキュラムの改革や受験生の増加策などではない、ランドマークの「県大」だ。
「県大」は、長久手(ながくて)キャンパス(愛知県長久手市)の南門脇の斜面にある巨大な植栽文字で、最寄り駅の東部丘陵線(リニモ)「愛・地球博記念公園駅」ホームからもよく見える。外国語学部3年の倉山沙葵(さき)さん(21)は「高校3年のオープンキャンパスで初めて見た時は大きさに驚いた」と話す。通学するたびに見る植栽だが、大学祭でイルミネーションが施された時は特にきれいで印象深かったという。
1998年春、キャンパスが名古屋市内から現在地に移転するのを前につくられた。当時の記録によると、生け垣によく使われる「ボックスウッド」(高さ約60センチ)を80株植える予定だったが、丈が高すぎるとして「コクチナシ」(同約20センチ)354株に変更したとある。それでも20年以上が過ぎ、丈は50センチを超えている。植栽は年1回手入れされ、周囲の芝生を年5回ほど刈り取ってきれいに整えている。
だが、近くで見ると「大」の字の右払い部分だけ丈が低く、ネットで囲われている。以前は一部の木が枯れて「県ナ」のような姿だった。外国語学部4年の植松真利那(まりな)さん(22)は「友達との帰り道、だんだん『大』じゃなくなっていると話題になっていた」。2年生の時、祖父母を大学に案内して記念撮影をした思い出の場所だ。卒業生が写真を撮る姿も見てきたので「ぜひ元気になってほしい」と願う。
県大には「木を植え替えて修復…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル