自転車に乗る時に命を守るヘルメット。「ダサい」といった理由でかぶらない人も少なくない。そんな中、ファッション性と機能性を兼ねそなえたヘルメットのカバーを名古屋学芸大学(愛知県日進市)の学生7人が考案。老舗の帽子メーカー(名古屋市)はこれをいかした商品の開発に乗り出した。着用率アップの起爆剤になるか――。
愛知県では昨年、18人が自転車に乗車中に亡くなった。その8割近くがヘルメットをかぶっていなかった。警察庁によると、2021年までの5年間に亡くなった人の約6割が頭部に致命傷を負っており、ヘルメットを着用していなかった人の致死率は着用していた人に比べて約2・2倍高かった。乗車時のヘルメット着用の重要性が見て取れる。
県は昨年10月にヘルメットの着用を努力義務とする条例を施行。県警も広報に力を入れるが、「全身のファッションでみるとダサい」などの理由で浸透が進んでいないという。そこで着用率アップの一手として考えたのが、おしゃれな帽子のような見た目のヘルメットカバーを作ることだった。
県警はファッションに詳しい名古屋学芸大の水嶋丸美准教授に協力を依頼。学生7人が今年2月から試作を重ね、約2週間で8種類のカバーを仕上げた。
横井美莉さん(19)はカバー部分だけではなく、あごひもにも目配りした。バックルはリボンで隠れるように工夫した。宇佐美帆香さん(20)は機能性にもこだわった。夜間に人目につくように反射材を取り付けつつ、サイズを小さくしてデザイン性にも配慮した。
7人がデザインしたカバーを多くの人が手作りできるように県警は4月に型紙をホームページ(https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/topics/post_312.html)で公開。5月末には型紙からカバーを作る体験教室が日進市で開かれた。参加した坂田幸子さん(78)は「作れるかなあと不安な気持ちで来たけど、思ったより簡単にできた」と話した。
広がりは他にもある。名古屋…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル