松浦和夫
千利休が茶会の菓子として愛した「ふの焼」がもとになったとされる滋賀県近江八幡市の「安土のふなやき」が、文化庁の「100年フード」に認定された。安土町商工会女性部が約5年かけてレシピをつくった。地元の小学校で出前教室を開いて広めたり、イベントで販売したりして、地域伝統の味を発信していくという。
100年フードは、多様な食文化の継承・振興の機運を高め、世代を超えて地域で受け継いでもらおうと、文化庁が2021年度から認定している。
安土城を築いた織田信長に重用された千利休は、「利休百会記」によると、88回の茶会のうち68回で茶菓子「ふの焼」を使ったという。
「ふの焼」の発祥地とされる近江八幡市の安土地区では、子どものおやつ、お母さんの味として、小麦粉や砂糖を使った「ふなやき」が親しまれてきた。
安土町商工会女性部は19年から、郷土食として復活させようと、薄力粉や強力粉、ベーキングパウダー、黒砂糖などを使って試作し、レシピを作成。昨秋に地元の小学校で出前授業をした。地元の祭りでは600枚が完売する人気ぶりだったという。
女性部長の長谷川茂子さん(68)は「地元に伝わる母親の味。全国のみなさんに知っていただけたら」と話した。
これまで100年フードに認定されたのは全国で250件。県内では「安土のふなやき」も含め、寄り合い時のもてなし料理「よびしの食」(多賀町、21年度)や「近江日野の伝統料理~鯛(たい)そうめん、肉めし、日野菜漬け~」(日野町、22年度)、「大津のうなぎの食文化」(大津市、23年度)、「石部のいもつぶし」(湖南市、23年度)の計5件が認定されている。(松浦和夫)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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