いま世界には約1万3千発の核弾頭が存在します。ロシアのウクライナ侵攻によって、実戦で使われる恐れまで浮上しました。そんな中、今月に被爆地・広島で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、「核兵器のない世界」が主要なテーマの一つになります。その道筋をどう切り開くのか。G7首脳らへの注文を、さまざまな方々に語っていただきます。
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2005年に、軍縮の専門家を育成する国連のプログラムで広島と長崎を訪れました。初めて被爆者の証言に耳を傾け、核兵器の非人道性を実感しました。核兵器がある世界に未来はないと感じました。
広島での最後の夜、夕食会でのスピーチを任されました。「被爆者に安らぎをもたらし、未来を迎えるため、核兵器のない世界にしよう」と呼びかけました。その言葉は広島との「約束」になりました。スピーチの内容をしたためた紙は大切に持っています。
カリブ海に浮かび、レゲエで知られる小さな島国・ジャマイカも核の問題を深刻に憂慮しています。1962年に英国から独立しましたが、同じ年には「キューバ危機」が隣国で起き、米ソが核戦争寸前にまで至りました。
学生時代を過ごした80年代も、核戦争が勃発するかもしれないという恐怖感が社会に漂っていました。レゲエ歌手のピーター・トッシュは反核を歌詞に乗せました。そんな時代が私に影響を与え、外交官として国際平和や開発に貢献したいと思いました。
2012年に国連ジャマイカ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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