将棋の超早指し団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」の予選Cリーグ第3試合、チーム木村VSチーム康光が6月6日に放送され、先鋒戦でチーム康光・森内俊之九段(49)がチーム木村・行方尚史九段(46)との三番勝負で2連勝、+2ポイントを獲得した。森内九段は第1試合で高見泰地七段(26)にも2勝1敗で勝ち越し。十八世名人の有資格者である実力を、超早指しにおいても、まざまざと見せつけた。
これが永世名人の資格を持つ者の地力だ。早指しに強いと言われる若手でもなく、玉を堅く囲って時間を稼ぎやすい振り飛車でもない。ただ自分の将棋を貫き続けた結果、勝利が後からついてきた。「とりあえず結果が出せてよかったです」と口数は多くないが、その強さを証明するには十分な戦いぶりだった。
トップ棋士の一人に数えられる行方九段との第1局は、先手番から得意の矢倉戦。10代のころから指し続けている分、手の内など丸わかりだが、途中で劣勢に追い込まれても慌てることなく挽回。チームメイトで十七世名人の有資格者・谷川浩司九段(58)からも「開き直りが違いますね」と驚かれるほどの肝の座り方で、大激戦の一局を制した。
一時は将棋界のレジェンド・羽生善治九段(49)と名人のタイトルを2人で長年、保持し続けたこともある実力者。現在、自らフリークラスを選択したため、今後名人になることはないが、気合を入れた時の力はまだまだ衰えたものではない。続く第2局も相矢倉になると、さらに充実した内容の対局を展開。森内九段の鋭さが随所に見られる内容に、谷川九段も思わず「神ですね。8二飛車、不動で勝っちゃいました」と語ると、チームリーダー佐藤康光九段(50)も「すごいですね、勝ち方が」と、その圧勝ぶりに呆れるほどだった。
チームは中堅戦、大将戦で負け越したものの、森内九段が稼いだポイントが効果を発揮し、ぎりぎりながら予選を通過。決勝トーナメントへの進出を決めた。決して派手なことを言うわけでもなく、ただ骨太の将棋を指すのみ。まさにチームの大黒柱といった雰囲気を漂わせた。
◆第3回AbemaTVトーナメント
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行い、1回の対戦は三番勝負。3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝賞金1000万円。
◆出場チーム&リーダー
豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段、三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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