九州一の繁華街、福岡市・天神の一角に店舗を構え、発展を遂げる街を見守ってきたロシア料理店「ツンドラ」が7日夜、60年の歴史に幕を下ろした。最終日、常連客らが最後の一皿を求め、列をなした。
開店は1960年12月。現オーナーの徳永哲宥(てつひろ)さん(77)の母、初美さんが創業した。東京のレストランで出会ったロシア料理に感動した初美さんが、1カ月の修業の後、その味を福岡に持ち帰った。店名は、当時高校生だった哲宥さんが持っていた地理の教科書にあった「ツンドラ地帯」からとった。
ロシア料理店はまだめずらしく、瞬く間に人気店になった。一番人気はボルシチ。本場では根菜のビーツでスープが赤色になるが、開店当初はビーツは入手困難で、トマトベースになった。その味が「ツンドラの味」として愛されてきた。
その間に街は変化した。
哲宥さんは「昔は路面電車が通っていて、店の前には大名小学校もあった」。開発が進み、いつのまにか高層ビルに囲まれた。小学校も7年前に141年の歴史を閉じ、跡地では「天神ビッグバン」によるビル建設が進む。
一昨年、初美さんが102歳で亡くなった。哲宥さん自身も年齢を重ね、後継者もいない。「いつやめようかと考えてはいた」。そんな状況のなか、新型コロナの感染拡大が襲った。先行きが見えない中、決心した。
しかし、いざ閉店を決めてか…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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