人が笑うと、返事をしながら笑い返してくれる――。そんな会話ロボットを、京都大の研究グループが開発した。ロボットは人が動かす道具ではなく、自ら動いて人に寄り添う存在になるかもしれない。
同大大学院の情報学研究科には、女性の姿をしたアンドロイド(人型ロボット)「ERICA(エリカ)」がいる。9月下旬、研究を担う井上昂治助教がエリカと向かい合い、「以前から行きたいと思っていたお店にずっと並んでいたら、実はオープンが次の日でした。ははは」と話しかけると、エリカは「そうなんですね、ふふふ」と愛想笑いで返事をした。
うなずきながら相づちをうつ様子は、機械にしては自然に映るが、返事はどこかそっけない。なぜなら、エリカは人が話す内容を理解して返事をしているのではなく、あくまで相手の笑い声に反応して笑っているだけだからだ。
それでも、台本のせりふのように笑う従来のロボットとは異なり、相手に合わせて笑うロボットの開発は世界でも類を見ない試みだった。
笑うエリカは英BBCなど海外のメディアで次々に取り上げられ、河原達也教授は「機械をツールとして捉える海外の人には、ロボットが笑うというのは最先端だったのだろう」と反響に驚いた。
◇
エリカは、人間の操作を受けず、「自律的に人と対話ができるロボット」をめざして、アンドロイド研究の第一人者である大阪大の石黒浩教授と、音声認識が専門の京大の河原教授らが2015年に開発した。
①老若男女問わず対話相手として受け入れやすいのは成人女性、②人は人間よりロボットとの対話の方を好むことがある、といった先行研究を踏まえ、CGで合成した女性の姿でデザインされている。
エリカの「愛想笑い」をめぐってはSNSなどで批判も出ました。こうした問題とどう向き合うべきかも記事の後半では取り上げています。
エリカに搭載された対話用の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル