全国のJRの在来各線(一部路線を除く)の利用状況を調べるため、輸送密度(1日1キロあたりの平均利用者数)をもとに、国鉄分割民営化でJRが誕生した時点と2019年度を比較したところ、3分の2に当たる路線で減少していた。JR各社への取材でわかった。
国の統計によると、JR全体の旅客数はこの約30年間で逆に約1・3倍に増加している。大都市圏で乗客が増えた一方、ローカル線では沿線の人口減少などが影響して利用が減少。地域格差が拡大する傾向が鮮明になった。
輸送密度は平均通過人員とも言う。朝日新聞は、JR各社が取材に対して明らかにした計150路線の輸送密度を集計。JRが誕生した1987年度と2019年度のデータを比較し、増減率を調べた(注①JR旅客6社のうち、JR東海は回答を拒否したため同社管内の12線は含まない②民営化以降に開業・廃線となった路線は対象から除外した③一部の路線は時期によって運行している区間が異なる)
集計の結果、輸送密度は50路線で増加していたが、100路線で減少。73路線は国鉄末期に廃線の対象となる目安とされた水準(4千人)を下回っていた。
地域別に見ると、JR発足時に輸送密度が最も高かったのは山手線の約81万人で、埼京線(約46万人)、東海道線東京―熱海など(約26万人)、大阪環状線(約26万人)が続いた。19年度は山手線が約112万人、埼京線が約75万人、東海道線東京―熱海などが約37万人、大阪環状線は約29万人とそれぞれ増えていた。
増加率は、東京から千葉を走る京葉線(585%増、19年度は約18万人)がトップ。大阪市のゆめ咲線(268%増、同約8万8千人)、神奈川県の相模線(217%増、同約2万9千人)が続いた。いずれも大都市圏や付近に位置している。
一方、新潟県糸魚川市と長野県小谷村を結ぶ大糸線(糸魚川―南小谷駅間)の19年度の輸送密度は、87年度(987人)の10分の1に当たる102人に減少。地域別では、山田線(84・5%減、19年度は174人)、陸羽西線(84・3%減、同343人)など東北にある路線の減少率の高さが目立った。JR四国管内では全8線が減少した。
2020年度は、新型コロナウイルスの影響で、乗客数が19年度よりも全体的に落ち込むとみられる。
大糸線沿線の危機感「明日は我が身」
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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