朗読劇のクライマックス。取り調べシーンに観客約500人は息をのんだ。
取調官 ローマ字を流通させ、日本語をなくし、教育勅語を読めなくして国体概念を消滅させようとしているんだよな。
斎藤 日本語がいらないなんて言っていない。
取調官 転向しろ。すぐに帰してやる。奥さんや娘と会いたくないか。転べ。
斎藤 断る。
7月31日、山形市の市民会館大ホール。斎藤秀一(ひでかつ、1908~40)という言語学者をめぐる朗読劇が上演された。斎藤は戦前、国語のローマ字化を訴えた。5回検挙されても自説を曲げなかった。
朗読劇の佳境は1930年代後半。共産党組織を壊滅させた治安維持法が自由主義者、反戦論者、宗教団体を次々と標的にしていった時代だ。
軍国主義が広まった戦前・戦中にも、反戦を訴えたり、体制に異を唱えたりする人たちがいました。その足跡をたどると、思想や信条を自由に口にできない戦争の実相の一つが見えてきます。記事後半では、斎藤がローマ字化を訴えた理由や、「再評価」が進む時代の空気をひもときます。
朗読劇の演出を手がけた廣野…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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