温かい食事は、体だけでなく、心も温めます。つくった人の思いが感じられれば、なおのこと。子育てに忙しい時期、実家の母からのおかずの差し入れに助けられた。そんな共通点を持つ2人の女性が、あるロールキャベツのレシピを縁に、500キロ以上の距離を越えてつながりました。
「いいお肉が買えたから、あしたつくるね」
山口県宇部市に住む保育士の西村久美子さん(48)に、同じ市内に住む母の北野洋子さん(72)から電話があった。
「ああ、ありがたい。子どもたちも大喜びだわ」
メニューはロールキャベツ。豚のブロック肉を包丁でたたき、ひき肉にするところから始める本格派だ。
1時間煮込んだ肉だねはきれいなピンク色で、箸ですっとほぐれる。肉のうまみと野菜の味がしみ出たスープもたまらない。
夫も、20歳の長男も、高校1年の長女も、家族全員の大好物だ。子どもたちお気に入りの萩焼の器に盛りつけると、食卓が一気に華やぐ。
母が結婚の時に持ってきた、1972(昭和47)年発行の料理本に載るレシピは、とても丁寧だ。
下ゆでしたキャベツの葉は、しゃもじで芯をたたいてやわらかくし、肉だねのつなぎには、水に浸してかたく絞ったパンをほぐして使う。
実は、元のレシピでは、ひき肉は買ってきたものでOKなのだが、母はそこにも手をかける。
「下ごしらえをしっかりして…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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