働く世代や若年層への新型コロナウイルスワクチンの接種機会を広げようと、「夜間接種」に取り組む自治体が全国に広がっている。東京都港区では17日、深夜0時まで受け付ける「週末ミッドナイト接種」が始まった。夜の接種会場に足を運ぶ人たちには、様々な理由があった。
多様なニーズに対応
上層階の客室から東京タワーが見えるという港区芝2丁目の「東京グランドホテル」の宴会場。午後7時、初日のミッドナイト接種が始まった。等間隔に並べられたいすに事前に予約した区民が座り、接種を受けていった。
「夜に活動する身としては、これしかないとありがたかった」。映像作家の伊藤太一さん(50)は夜間接種を歓迎する。米ロサンゼルスで会社を経営。深夜や早朝に現地とオンラインでやり取りをし、昼間は仮眠などをする生活リズムだ。
仕事で同区内の麻布十番にあるスタジオと都内のホテルを行き来する必要はあるが、感染リスクを抑えるため、外出は極力避けている。「夜なら、外も『密』ではない。行政側が考えてくれたなと思う」
「副反応がつらいと同僚が言っていた。金曜夜なら次の日に休めますから」と喜ぶのは、新橋で暮らす米国人のジョン・オントコさん(30)。8年前に米国から日本に移住し、東京五輪関連の仕事に携わってきた。会場にはほかにも、外国人の姿が複数みられた。
コンサル会社で働く黒部遼さん(36)は、芝浦の自宅でリモートワークを終えてから来た。仕事が忙しくて接種を後回しにしてきたが、今月子どもが誕生。「不安なく子育てをできるようにしないと」と初日の接種に申し込んだという。
打ちたいのに、今まで打てなかった――という人も。ウェブデザイナーの女性(24)は8月中旬にコロナに感染して自宅療養。その後に東京都が渋谷に設置した若者向けの接種会場にも足を運んだが、接種ができなかったという。「ミッドナイト接種は枠に余裕があって助かった」
訪れる人の数がまばらになり始めた午後9時ごろ。西麻布在住で、六本木でバーを経営する50代女性が到着した。店は緊急事態宣言で休業中で、代わりに昼間に派遣で働く。ワクチンの副反応が不安で、仕事に穴を開けないためにも接種をせずにきた。「夜間がなければ、ずっと受けなかったかも」。夫に体調を気遣われながら帰っていった。
午後11時台になると、会場は閑散としてきた。「家で着替えてから来た」という六本木で働く会社員男性(24)のほか、Tシャツにハーフパンツ姿など、ラフな服装が目立つように。日付が変わった18日午前0時10分、最後の接種者の経過観察が終了。初日は計208人が接種を受けた。
港区は、対象区民の85%の接種を目標に掲げる。現在の接種率は67%で、若年層を中心にミッドナイト接種をPRしたいという。毎週金曜日に実施し、クリスマスイブの12月24日までに、計2500人が2回目までの接種を終えられる計画だ。
「24時間」接種が受けられる場所も
24時間、U(アンダー)2…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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