新型コロナウイルスの国内でのワクチン接種が17日始まった。米製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックが開発したワクチンが、一般の住民らに先駆けて医療従事者に接種された。先行接種は、国立病院機構など全国100カ所の医療機関の計約4万人が対象となる。
東京都目黒区の国立病院機構東京医療センターではこの日朝、医師らへの接種のようすが報道機関に公開された。接種は午前9時ごろに開始。病院の会議室を会場にして、接種前の体調などを記入する「予診票」を確認した後、医師らが順に受けた。接種後は副反応をみるため15分待機する。同センターには医師や看護師、事務員、清掃などにかかわる委託業者ら計約1800人がいる。先行接種では3月31日までに2回、まずは計800人に接種するという。
政府が医療従事者を最優先したのは、新型コロナの患者に頻繁に接し、感染リスクが高いため。ワクチンで感染リスクを抑えることで、入院患者らの感染防止や医療の提供体制の確保につながるという狙いがある。接種を受けた同センターの新木一弘院長は記者会見で、「医療を確実に届けるには、院内での感染防止に万全を期す必要がある。コロナ対策として率先して受ける必要があると考えた」と話した。痛みはそれほど感じなかったという。
今後、全国で約4万人が先行接種を受ける。このうち2万人については同意を得た上で、副反応の有無などの健康調査をする。ファイザー社製のワクチンは2回接種する必要があり、それぞれの接種後計7週間、体温や接種した部位の様子、全身症状があるかどうかなどを日誌に記入する。結果も公表する。
そのほかの医療従事者約370万人の接種は3月中に始まる予定だが、先行接種に十分な量が確保されていれば、医療機関の判断で前倒しもできる。(富田洸平)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル