米ファイザー社製の新型コロナウイルスワクチンを使っている自治体に対して厚生労働省は、接種会場となっている医療機関などでワクチンが余っていれば、別の施設に融通することを認めると通知した。自治体から「ワクチン不足」が指摘されるなか、政府は在庫が偏在しているとみており、その解消を目指す。
ファイザー社製のワクチンはこれまで、同社の国内倉庫から専用の冷凍庫を持つ比較的大きな病院などに運び、そこから近隣の診療所などへ配送されてきた。医療機関の間での融通は原則として認められていなかった。厚労省は「認めない理由は特になかったが、ワクチンは本来融通しないものだ」(担当者)としているが、これが原因で一部医療機関に在庫が増えている可能性があるとみた。
そこで5日付の事務連絡では、医療機関などの間で何度でもワクチンを融通できるようにした。市町村や都道府県を越えた融通もできる。融通元の施設がワクチンのロット番号や本数などを書面に記し、融通先の施設と都道府県に提出することで、仮にワクチンに不具合があってリコールが必要になった場合などでも、適切に対応できるようにする。
自治体などへのファイザー製ワクチンの供給は6月末までに約9千万回分だったのに対し、総接種回数は約5千万回。田村憲久厚労相は6日の閣議後会見で、差の約4千回分が在庫になっている可能性があるとの見方を示し「ミスマッチをどう解消していけるか、しっかり対応したい」と述べた。(下司佳代子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル