毎晩帰宅するたび、ぐちゃぐちゃに散らかったリビングが目に入り、思わずため息が漏れた。
約2年前、大阪府の女性(31)は掃除に手がつかないほど心が疲れ切っていた。
小学校の教員をしていた。
午前7時、保育園が開園すると同時に長男(5)を預けて出勤。45分後、今度は自分が登校してくる児童を迎え入れる。
クラス担任の仕事に一日中追われた後、子どものお迎えに行き、午後7時前に帰宅するころにはへとへとだった。
料理は、週末にまとめて作り置きした物を出した。「栄養とか見栄えは二の次でした」
システムエンジニアの夫(40)は夜勤があり、深夜や明け方に帰宅することが多い。不規則な勤務の疲れのあまり、帰ってすぐに寝てしまうことも珍しくない。
料理や掃除といった家事の分担は頼れないとあきらめ、ワンオペで家事育児と仕事をこなし続けた。
自分自身に、分担について話し合う時間と気持ちの余裕もなかった。
勤務があわないため、夫婦で一緒にいられる時間は1週間でわずかしかない。
でも、顔を合わせれば、「なんでやってくれへんの。こっちのしんどさを分かってよ」と、日頃のうっぷんをぶつけてしまう。
顔をあわせないときも、家事で不満に感じていることを長文にしたためてLINEで送った。
それが「既読スルー」される。
一方、夫にも不満はあった。
夜勤シフトで疲れ果てて帰ってくると、キッチンに洗い物が残っている時がよくあった。眠いのをこらえて食器を洗い、「終わらせておいてよ……」と感じていた。
女性は長女(2)の出産にあわせて教員を辞めた。ただ、生計を考えると共働きする必要があるため、特別支援学校の講師として働き始めた。
夫婦は家事をめぐってすれ違い、このままでは家庭が回らなくなることは目に見えていた。
悩んでいた女性が頼ったのは、「時間の片付け」という考え方でした。どういう方法なのでしょう。記事後半で紹介します。
1分で埋まる100人の予約枠
女性の願いは一つだった…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル