ネット上の「声」を、コンテンツを制作するメディアが利用している――。テレビのリアリティー番組に出演していた木村花さんの死去が波紋を広げるなか、エンターテインメント業界を取材してきたライターの松谷創一郎さんは、そう警鐘を鳴らします。問題を読み解くカギは「素人参加型」番組。「NHKのど自慢」や「スター誕生!」。視聴者をひきつけるために連綿と続いてきた「形式」が、ネット時代に持ち得た「力」とはなんなのか、聞きました。
少数の声が大きく見えるSNS
ネット上の誹謗(ひぼう)中傷や「炎上」が、マスメディアで頻繁に取り上げられるようになりました。すでに多くの識者が実証的に指摘しているように、誹謗中傷を投稿しているのはごく一部の人間です。でも、ツイッターをはじめとするSNSでは、その技術的な設計上、少数の声が過剰に大きく見えるようになっている。
140字という文字数制限や「いいね」の数の表示、ワンクリックで気軽にできるリツイート。これらが「凶器」として機能してしまったのが、「テラスハウス」をめぐる事件です。死去した出演者の女性は、自身の番組での言動に対する視聴者の書き込みに悩んでいたと言われています。
番組は、シェアハウスで実際に…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル