「一票の格差」が最大で2・08倍だった2021年10月の衆院選について、二つの弁護士グループが「選挙区で投票価値が違うのは憲法違反だ」として、選挙の無効を求めた計16件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は25日、「合憲」とする判断を示し、弁護士らの上告を棄却した。
15人の裁判官のうち14人の多数意見。行政法学者出身の宇賀克也裁判官だけが「違憲」とする反対意見を示した。
一票の格差は、議員1人あたりの有権者数が選挙区ごとに違うために投票価値に差が生じる問題。大法廷は09、12、14年の衆院選を3回連続で「違憲状態」として国会に是正を求めたが、最大格差が1・98倍だった17年衆院選は18年の判決で「合憲」としていた。
「今後是正される」
この日の判決も、前回と同様、国会が16年の法改正で議員定数を人口に応じて増減させる「アダムズ方式」の導入を決めたことを重視。今回の選挙時の格差は「新たな制度での是正が予定されている」とした。
格差が拡大しても、投票価値の平等の要求に反する新たな事情や、著しい格差拡大がない限り、合憲とする考え方を示した上で、今回の格差は「自然的な人口移動以外で拡大したという事情はうかがわれず、程度も著しいとはいえない」として、合憲と結論づけた。
宇賀裁判官は反対意見で、17年選挙も今回の選挙も違憲状態を脱していなかったとした上で、「選挙時点で定数配分や選挙区割りが客観的に違憲状態にあった以上、公職選挙法の区割り規定が違憲といってよいと考える」と述べた。
今回の衆院選は、有権者数が最少の鳥取1区(約23万人)と最多の東京13区(約48万人)で2・08倍の差が生じ、2倍を超えた選挙区は29に上った。訴訟は16件起こされ、全国の高裁・支部の判断は「合憲」が9件、「違憲状態」が7件とほぼ二分されていた。(根岸拓朗)
「国会議員は同じ数の国民を代表すべきだ」。こうした考えから「一票の格差」訴訟は繰り返されてきた。
合憲だから、「もう解決」なのか。記事の後半では、裁判を起こした弁護士や与野党の国会議員、憲法学者の受け止めをお伝えします。
17年衆院選は最大格差が1…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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