平岡春人
昨年10月の衆院選で「一票の格差」が最大2・08倍だったのは投票価値の平等を定めた憲法に反するとして、弁護士グループが北海道選挙管理委員会に道内の12選挙区の選挙無効(やり直し)を求めた訴訟の判決が7日、札幌高裁であった。長谷川恭弘裁判長は「格差が大幅に拡大した合理性を認めるにたる証拠がない」として「違憲状態」と判断した。選挙無効の請求は棄却した。原告側は上告する方針。
弁護士グループが289小選挙区すべての選挙区で選挙無効を求めて全国14高裁・支部に提訴した一連の訴訟で、判決は今回で4件目。これで「違憲状態」が3件、「合憲」が1件となった。判決が出そろった後、最高裁が統一判断を示す見通しだ。
一票の格差をめぐっては、最高裁大法廷が2009年以降の衆院選について、3回連続で「違憲状態」と認定。国会は16年、都道府県の人口比をもとにした「アダムズ方式」の導入を決め、経過措置として小選挙区の定数を「0増6減」とした。ただ昨秋の衆院選ではアダムズ方式の導入が間に合わず、議員1人あたりの有権者数が最少の鳥取1区と最多の東京13区では、2・08倍の格差が生じていた。
一方、昨秋の衆院選と同じ選挙区割りで行われた17年の衆院選の最大格差は1・98倍で、18年の最高裁判決は「合憲」としていた。
札幌訴訟の原告側は、鳥取1区と北海道内最多の道3区(札幌市白石区など)の間で一票の格差が2・04倍で、投票価値の平等に反し「違憲」だと主張。一方、被告側は、アダムズ方式が導入されれば「格差は早晩、解消される。違憲状態ではない」と反論していた。
2月1日の高松高裁判決と3日の大阪高裁判決は、いずれも「違憲状態」と判断。2日の東京高裁判決は、アダムズ方式の導入を決めた国会の取り組みを踏まえ、「格差が2倍を大きく超えないように是正が図られた」とみなして「合憲」とし、判断が分かれていた。(平岡春人)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル