夫婦でいる理由(わけ)<1>
日曜日の昼下がり。京子さん(32)は、浩さん(30)とよく犬の散歩に出かける。福岡県北部の閑静な住宅街。近所の目には「仲のいい夫婦」と映っているに違いない。 【画像】産後クライシス「出産後何となく」セックスレスに… ところがこの2人、既に別離を心に決めている。浩さんに慰謝料ができ次第、離婚届に判を押す段取りになっている。 「誤解されても仕方ありませんね。同居してるし、一緒に買い物にも出かけます。会話だって普通にしますよ。私が仕事帰りに飲みにいって遅くなれば、車で迎えにもきてくれますから」。派遣会社に登録して商社に出向している京子さん。丁寧な言葉遣いに年齢以上の落ち着きが感じられる。淡々と「別れる理由(わけ)」を語りはじめた。
「性生活が一度もなくて…】
「実は私たち、3年前に結婚して以来、性生活が一度もなくて…。どうしてもそういう気持ちになれなかったんです。求められることもありませんでした」 出会って1年後にゴールイン。式の直前に浩さんの転勤が決まり、新婚旅行は後回し。関西出身の2人の新婚生活は、福岡という見知らぬ土地でスタートを切った。 朝はお弁当を作り、掃除、洗濯と家事をこなし、夕食の準備をして帰りを待つ。まだ近所との付き合いも浅い孤独な専業主婦。夫も新しい職場で気苦労も多い。夫婦にとって2人で過ごす夜が、いちばんの心安まる時間だった。 その日の出来事を語り合いながら食事をとる。ソファに座り、テレビを見ながら同じ場面で一緒に笑う。そして2人でベッドに入る。
「お互いに近親相姦みたいに思えて」
どこにでもある新婚生活なのに、なぜ? 「家族になってしまったからでしょうね」 意外な言葉が返ってきた。 「お互いに近親相姦みたいに思えて」 それも結婚してから、突然だったという。 「(セックスの)相性ですか? 悪くなかったと思いますよ。だって恋愛中は、人並みに、でしたから」 こちら(記者)が首をひねっていると-。 「友人に話しても、決まって驚く。雑誌にも、夫婦は週に何回が平均だとか書いてあるでしょ。セックスレスが離婚に至るケースも少なくないらしいですね」 そんな世間の“常識”に不安を覚えた時期もあった。 「一度、誘ったことがあるんです。でも無駄。『今はその気になれない』って」 そう言われて、プライドは傷つかなかったのか。 「そうでもなかった。私も本気じゃなかったし。2人の価値観が一致してるってことでしょ。しばらくこのままでいい。そのうち自然に、と」
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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