万引き犯に並走「店に戻った方が」 サッカー選手が説得

 スーパーで食料品を万引きして逃走した男(42)を追いかけ、チームプレーで逮捕に協力――。サッカーの鈴鹿アンリミテッドFCの選手3人が12日、津署で感謝状を手渡された。

 お手柄だったのは高野次郎さん(25)、月成大輝さん(25)、芦田成利さん(25)の3人。事件は5月5日夕方、津市一身田中野のスーパーで起きた。酒や刺し身など10点を万引きした男に気づいた店長が、駐車場内で呼び止めると、男は店に戻るそぶりを見せたが、店長の胸を殴り、倒れた隙を見て逃げた。

 「泥棒!」。近くで店長の叫び声を聞いた高野さんが、まず猛ダッシュで男を追いかける。続いてサンダルで駆けだした月成さんは、走りながら110番通報。いち早く追いついた高野さんは、男から「手出すぞ」と言われたが動じなかった。並走しながら「余計なことしないで早く店に戻った方がいいよ」と、声をかけて説得を試みた。

 月成さんも追いつくと、約500メートル走ったところで男は諦めて立ち止まった。芦田さんも加わり、男を見守りながら来た道を引き返した。まもなく、現場にやって来た警察官が事後強盗の疑いで現行犯逮捕。「人生はやり直せるよ」。3人は男にこう声をかけたという。

 感謝状を受け取った高野さんは、取材に「最初は怖かった。それでも、日頃走り込んでいることもあって、犯人に走り負けなかったと思う」と話した。月成さんも「当時は突然の出来事で驚いたが、感謝状をもらって素直にうれしい。このことがチームの勢いになれば」と喜んでいた。(大滝哲彰)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment