古畑航希
北海道蘭越町の地熱発電の調査現場で高濃度のヒ素を含む大量の蒸気が噴出した問題で、調査を進める三井石油開発(東京)の原田英典社長らが8日、現地で記者会見し、健康被害などの情報開示が遅れたことを謝罪した。体調不良を訴える人は2人増えて4人になった。道は同日、ヒ素を含む水が敷地外に放出しないよう同社を指導した。
同社によると、噴出が始まった当初は現場で体調不良が確認されていないことなどを踏まえて「人的被害はない」とした。現場に弁当を配送した女性が硫化水素中毒と診断されたのに、その被害を7月4日まで公表しなかった理由について、原田社長は「事業との関係特定が難しかった」と釈明した。
同社はヒ素の濃度は「ただちに人体に影響がでるものではない」としている。町内に設置した健康被害相談窓口には新たに2人から体調不良の訴えが寄せられており、「事実関係に基づき適切に補償する」という。
飲料水と農業用水の取水を制限していたが、農業用水については7日に解除した。農作物の被害について原田社長は「因果関係があるものに関しては適切な形で補償をさせていただく」と述べた。
土囊(どのう)を設置したことで付近を流れる川への流入はおさまったが、川以外への流出は続いている。飲料水の取水制限は続けられており、現場を訪れた道職員はこの日、さらなる流出を防ぐよう指導した。噴出の原因は判明しておらず、噴出を止めるめどは立っていないという。(古畑航希)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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