三島由紀夫のリアリティー 「美」へと回帰する社会

 「気が狂ったとしか考へられぬ」。時の首相がそう日記に書いた作家三島由紀夫による「三島事件」から25日で50年がたった。三島の作品や思想に詳しい片山杜秀・慶応大教授(政治思想史)は「三島のリアリティーは増している」という。なぜか。

拡大する片山杜秀・慶応大教授。90畳の書庫は数万冊の書籍、CDで埋め尽くされている=2020年10月12日、茨城県内

 ――三島事件が人々の関心を引きつけるのはなぜでしょう。

 学生相手に三船敏郎や勝新太郎といった映画スターの名は通じなくなってきました。でも三島由紀夫についてはそんなことはない。作品を読んでいる人はいるし、三島の戯曲を朗読したがる学生もいる。戦後の圧倒的な文化的ヒーローなんでしょう。

 有名人が自衛隊に乗り込んでクーデターを呼びかけて切腹した。あれ以上の衝撃的なドラマはちょっと思いつかない。三島由紀夫の「勝利」だったと思います。

拡大する自決直前、自衛隊員らを前に憲法改正などを訴える三島由紀夫=1970年11月25日、東京・市谷

 ――事件の真の動機は何だったと思いますか。

 今でも考えますが、よくわから…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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