鹿児島県鹿屋市の民家で昨年3月、職場の上司の男性を殺害したとして、殺人と銃刀法違反などの罪に問われた元会社員谷山裕樹被告(47)の裁判員裁判の判決が22日、鹿児島地裁であった。岩田光生裁判長は「計画的で残虐な犯行で悪質性が高い」とし、懲役18年(求刑懲役20年)の実刑判決を言い渡した。
判決によると、谷山被告は昨年3月25日午後9時40分ごろ~午後10時半ごろ、勤めていた食肉工場の上司だった吉井政己さん(当時55)宅=鹿屋市吾平(あいら)町=で、吉井さんの首や胸などを包丁で複数回刺すなどして殺害した。
判決は犯行の動機について、交際していた同僚女性に別れを告げられた被告が未練を断ち切れず、女性と交際を始めた吉井さんに「女性を奪われた」と感じ、一方的に恨みや怒りを募らせたと認定。「短絡的で身勝手。動機や経緯に酌量の余地はない」とした。
その上で、アリバイ作りのために犯行日を宿直勤務の担当日と決め、防犯カメラを避けて吉井さん宅へ向かったことや、吉井さんが玄関の引き戸を開けた瞬間に胸を刺すなどしたことなどから「計画的で執拗(しつよう)かつ残虐。強固な殺意があった」と指摘。一方で被告が罪を認めて反省し、両親の助力で被害弁償の一部として300万円を遺族に支払ったことなどを量刑に考慮した、としている。
判決の最後で岩田裁判長は、裁判員や裁判官からのメッセージとして「女性に振られた原因は被害者のせいではなく、あなたに問題があったのではないでしょうか。あなた自身も女性との交際のために離婚しており、妻子につらい思いをさせたのではないでしょうか。人生にとって大切な人は誰なのかをよく考え、自分本位の考えを改めてほしい」と被告に語りかけた。(三沢敦)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル