本州の市で最も人口が少ない石川県珠洲市。この地を気に入って移住し、自身が社長を務める上場企業の本社機能も移転させた男性がいる。「ここで成立するビジネスができれば、全国に広げられる」。商売が軌道に乗るかに思えた矢先、能登半島地震は起きた。
「もしもし、岩城です」
1月下旬、岩城慶太郎さん(46)は金沢市内のコワーキングスペースで、2次避難先での困りごとなど被災者からの電話相談にのっていた。発災2日後にフェイスブックで個人の携帯番号を公開。以来、1日数十件、電話がかかってくる。
東証プライム上場の医薬品製造販売大手「アステナホールディングス(HD)」で社長を務めている。1914年に東京・日本橋で薬種問屋として創業した同社は、売り上げ519億円(2023年11月期)。岩城さんはその創業家出身で、4代目の社長だ。
16年に妻と旅行で訪れた珠洲で、自然や食の豊かさ、人と人の距離の近さに魅せられ、休みのたびに滞在。21年6月、アステナHDの本社機能の一部を東京から珠洲市に移して「珠洲本社」を置いたのを機に、自らも移住した。
珠洲市は人口約1万3千人…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル