上皇ご夫妻支えた渡辺允・元侍従長 皇室記者が振り返る

 平成時代の天皇、皇后両陛下(現上皇ご夫妻)を約10年にわたって支えた渡辺允・元侍従長が2月8日、誤嚥(ごえん)性肺炎のため、85歳で死去しました。長年にわたり皇室取材を続けてきた岩井克己・本社皇室担当特別嘱託が渡辺さんの歩みと功績を振り返りました。

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 「やれと言われればやりますよ」。あなたのような人が侍従長だったら。そう冗談めかして問いかけたら、静かな声が返ってきて驚いた。官僚で、そんな覚悟を示す人に出会ったのは初めてだったからだ。

 1994年6月、米国を訪問した天皇、皇后両陛下(現上皇ご夫妻)の取材から帰国して間もなく、親身に両陛下を気遣う様子が印象的だった儀典長の渡辺さんを呼び出してお茶を飲んだ時だ。

 92年の中国訪問や、積極的にご夫妻で活動する平成流に反発した保守派からのバッシングで矢面に立った皇后美智子さまが倒れてから8カ月。まだ快復途上でのハードな外国公式訪問を案じる声も多かった。しかし、若いクリントン大統領夫妻や米国民の底抜けに明るい歓迎に包まれ、雄大なロッキー山麓(さんろく)では皇后さまの笑顔を天皇陛下が自らカメラに収めるなど、ようやく長く暗いトンネルから抜け出したと実感させる充実した旅だった。

 初対面ながら、温厚な人柄に…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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