上野先生、祝辞の「報われなかった人」 それは息子です

(悩みのるつぼ) 相談者

 50代女性です。30代の息子のことで、上野千鶴子先生に聞いてほしいことがあります。

 上野先生は今年の東大の入学式の祝辞で、「世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと…たちがいます」と話されました。

 息子は高い目標を掲げて大学受験し続けましたが、結局、目標は達成できず、頑張りすぎたのでしょう、心を病んでしまいました。

 いろいろな本や体験談には、困難を乗り越えて夢を実現した話や、諦めずに頑張り続ければ夢はかなう、努力は決して裏切らないというような話ばかりが出てきます。しかし、実際には息子のような結果に終わる人も多いのではないかと思います。

 いつまでも能力を超えた高い目標を掲げ続けた者の自己責任と思って、諦めるしかないのでしょうか?

 息子はこの現実を運命と受け入れ、病とともに生きていく覚悟のようです。人生の負け組になってしまったみたいで、かわいそうでなりません。こうなる前に、何もしてやれなかった親の責任も感じています。

 上野先生、親子ともども、この先の生き方に何かアドバイスをいただけるとありがたいです。厳しいお言葉でも構いません。どうかよろしくお願いいたします。

回答者 社会学者・上野千鶴子

 ご指名ありがとうございます。今年4月の東大入学式での祝辞は大きな反響を呼んだようですが、それというのも思い当たるひとたちが多かったからでしょうね。

 いろいろな本や体験談に「努力…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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