管理が大変なわりに林業はもうかりにくいため、山林は利用価値が低い「負動産」の代表例のように言われる。ところが、青森・下北半島に、地図で示されている場所と実際の場所が異なるため、所有や利用をめぐって争いが続く山林があるという。高級木材として知られる「ヒバ」の産地で、現地を取材すると、日本の土地制度の「ひずみ」に突き当たった。
東北新幹線の七戸十和田駅からレンタカーで約3時間。マグロで有名な本州最北端に位置する大間町にほど近い、佐井村の「牛滝」という集落に着いた。
このあたりは山が海まで迫っている。国道から森に降りて、沢づたいに山に入ると、斜面のあちこちに大きな木が立っている。一帯は、国有林として管理されているため、事前に届け出をして入山した。
針葉樹だが、スギに比べて葉の先が丸みを帯びている。ヒバの葉だ。太い木は、記者が手を回そうとしても半分も抱えることができない。直径1メートルは超えている。
ヒバは文化財の寺社の建て替えにも使われる高級木材だ。林野庁東北森林管理局が1本1本入札にかけているヒバの中には、直径58センチ、長さ6メートルの丸太に約56万円の値がついたものもある。目の前にある巨木を売りに出したら、いくらの値がつくのだろう、と想像をめぐらせた。
6割がヒバで「平均樹齢185年」
山の上まで行くとさらに大き…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル