「62歳、住所不定、無職」。そんな肩書で2年前に鮮烈な作家デビューを果たし、漫画喫茶で執筆をしてきた作家がいる。
赤松利市さん。
3月、『犬』(徳間書店)が優れたハードボイルド小説に贈られる大藪春彦賞を受賞した。これを機にアパートを借り、漫画喫茶での「住所不定」の生活にピリオドを打った。
年収2千万円の会社経営者から転落し、波乱の半生を送った。東日本大震災後は、宮城で土木作業員、福島で除染作業員としても働いた。異色の作家が、4年にも及んだ「漫喫暮らし」から見えた日本の風景とは。
見えたのは「日本の縮図」
小説を執筆する拠点だった東京・浅草の漫画喫茶での生活をやめたのは、今年2月上旬のことだ。
「初心を忘れないようにと思って、(作家デビュー後も)漫画喫茶にずっといました。でも、64歳になった。執筆途中で体がきつくなっても、体を横にするスペースがないから、うろつくしかない。だから、移ることにしました。書くためだけの理由です。書くしかないんです」
大藪賞の賞金300万円をあてにして、部屋を借りようとしていたが、賞金をもらう前に、一時、ホテルに「避難」した。理由は、新型コロナウイルスの感染拡大だ。
「漫喫は不特定多数の人物が出…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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