緊急事態宣言の延長で東海3県の知事からは9日、感染状況を踏まえて「大変厳しい状況」(愛知県の大村秀章知事)などと医療体制への危機感の訴えが相次いだ。
愛知ではこの日も1170人の感染が確認され、23日連続で1千人を超えた。8日夜時点で入院患者は1028人(病床使用率63・2%)、重症者は94人(同55・3%)。ただ、感染者は減少傾向に転じている。
そのため、飲食店に求めてきた酒類やカラオケの提供中止と午後8時までの営業時間短縮、大規模商業施設の地下食料品売り場での人数制限などは30日まで継続するが、さらなる規制強化はしない。感染対策が不十分な野外音楽フェスティバルが開かれた問題を受け、新たに大規模イベントの主催者、参加者には対策の徹底を求めた。
政府の行動制限緩和方針を大村氏は「タイミング的には前のめりな感じ。菅政権が今月末までなので道筋をつけたいのでは」と疑問視した。ただ「感染拡大が収まれば経済を回さないと壊れる」とも話す。県内の12歳以上へのワクチン1回目の接種率は約7割となり、「接種すれば感染しにくく、ほぼ重症化もしないとわかっている。3回目接種も進めて日常を取り戻すことは必要だ」と述べた。
岐阜県の古田肇知事は、宣言延長を「想定内の流れ。これまで以上に慎重に、感染の下降線を確実なものにするのが大事」と話した。いま力を入れるのは、再び「自宅療養者ゼロ」の状態に戻すことだ。県内では自宅療養者が8月28日に過去最多の932人になった。新規感染者の減少や宿泊療養施設の増床などで、9月8日時点で120人。中旬から下旬をめどにゼロにしたい考えだ。
行動制限緩和に古田氏は「(感染対策は)少し良くなりかけたところが一番肝心。先を想定し議論するのはいいが、大事なところで緩みにならないよう十分注意して議論する必要がある。強制力のないワクチン接種をてこに緩和するのは、どういう仕組みで実行するのか。議論すべき点は多々ある」と指摘した。
三重県は1日あたりの感染者数が100人超の日が続き、9日時点の病床使用率も58・1%。鈴木英敬知事は「医療提供体制への負荷はかつてないもの。通常医療、救急医療にも影響が及んでいる」と説明した。そのなかでの行動制限緩和方針に、鈴木氏は「総論は賛成だが、始めるタイミングやワクチン接種をしない人への差別がないような制度設計が必要」と述べた。(岡本智、高木文子、大滝哲彰)
「国民のことを考えていない」厳しい視線
菅政権の1年余。菅義偉首相が「最優先課題」とするコロナ対策に振り回されてきた人たちはどう思うのか。
「国民のことを考えていない…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル