不妊治療の凍結胚を紛失、謝罪は2年後 北大病院を提訴

 不妊治療のため受精卵を育てて保存した「凍結胚(はい)」を病院に紛失されて精神的な苦痛を受けたとして、北海道内の50代女性と40代男性の夫婦が13日、北海道大学病院を運営する国立大学法人北海道大学を相手取り、慰謝料1千万円を求めて札幌地裁に提訴した。夫婦は「生殖医療の現場で、あってはならない事故。原因究明や再発防止策も提示されていない」と訴えている。

 不妊治療では、体外受精などのため女性から卵子を取り出す「採卵」の回数が増えると、身体的にも金銭的にも負担が重くなる。そのため、一度の採卵で多くの卵子を取り出せた場合、受精卵を冷凍保存する凍結胚が使われている。

 訴状などによると、夫婦は2007年2~12月、北大病院が管理する液体窒素入りのタンク二つに、受精卵6個を4個と2個に分けて冷凍保存した。翌08年4月、4個入りのタンクから1個を使い、子宮内に移植したが妊娠しなかった。

 3カ月後、再び凍結胚を使おうとしたが、このタンクに残っているはずの3個がなくなっていた。夫婦は病院側に紛失の経緯などの説明を求め続けたが、病院側が謝罪したのは10年8月で、紛失発覚から2年以上が経っていた。病院側は、最初に凍結胚を使った時に、同じタンク内の受精卵3個を誤って廃棄したと説明したという。

 夫婦が不妊治療を始めたきっか…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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