板倉大地、加治隼人
園児が送迎バスに閉じ込められて死亡する事故が起きた福岡県中間市の双葉保育園では、週明けの2日も、朝から子どもを預けに来る保護者たちの姿が見られた。「不安だけど、仕事があるから預けざるを得ない」。保護者たちは複雑な思いを漏らした。
中間市中心部に近い住宅地にある園には、午前7時を過ぎた頃から保護者たちの車が到着し始めた。子どもと手をつないだり、だっこしたりしながら、次々と園の中に入っていった。
男児を預けた保護者の女性は「事故があって不安だけど、仕事があるのでこのまま預けざるを得ない」と話す。園では7月31日に事故についての保護者説明会が開かれ、その後、夫と別の園に入れようかと話し合った。だが、待機児童の問題もあるなかで転園先が見つかるのか心配で、今度、市役所に相談するつもりだという。
別の保護者の女性も「事故があって不安なので園を替えたいが、なかなか見つからない。仕事があるので今日も預けに来た」と話した。
一方、男児を預けている保護者の30代女性は「事故があったのは残念だけど、園にはこれまで通り信頼を置いている」という。2日は普段より園児が少ない印象だったというが、「仲が良い友達もいるので、これからも通わせ続けたい」。
登園させない保護者も
登園させなかった保護者もいた。息子を通わせている30代男性は「園からは納得できる説明もなくて、安心して子どもを預けられません」。当面は家で妻が面倒を見るつもりだという。「友達もいるし、あと少しで卒園。そのまま通わせたい気持ちもあるけれど……」と悩む。
男性によると、周囲には「『登園させる親は何を考えているんだ』とネットでたたかれそうで怖い」と不安を漏らす保護者もいるという。
双葉保育園では7月29日、倉掛冬生(とうま)ちゃん(5)が登園時に乗った送迎バスの中に取り残され、熱中症で亡くなった。県警が業務上過失致死の疑いで捜査している。
ただし、急に仕事を休めない保護者もいるため、園の弁護士によると、市からは保育を継続するよう指示されているという。(板倉大地、加治隼人)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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