不審な電話にメール、送料1万円超でマスク販売も 「新型コロナ関連犯罪」に警戒感(産経新聞)

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、各地でウイルスの除去やマスクの配布をかたる不審な電話やメールが相次いでいる。インターネットの通販サイトではマスクを安価に出品して法外な送料を請求する悪質な商取引なども確認されており、政府は15日からマスクの転売を罰則付きで禁止する政令改正を施行。小中高校の一斉休校に伴って子供を狙った犯罪なども想定され、警察当局などは警戒を強めている。(玉崎栄次、千葉元)

【写真】本体価格に高額な送料を設定…悪質な出品目立つ

 ■詐欺グループ暗躍か

 「コロナウイルスに関する大切な説明がある。詳しくは家に伺って話す」

 2月26日、仙台市の80代の女性宅に男の声で電話がかかってきた。男は警察官を名乗ったが、不審に思った女性は訪問を断り、宮城県警に相談したという。

 不審電話は各地で頻発している。長野県では保健所職員を名乗って家族構成を聞き出そうとするケースが発生。群馬県や大阪府では水道管や下水道に「コロナウイルスが付いている」と持ち掛け、除去費用を請求しようとする手口も確認。捜査関係者は「深刻な犯罪につながる可能性がある」と懸念する。

 こうした電話は特殊詐欺グループが事前にターゲットの情報を収集する「予兆電話(アポ電)」の疑いがあり、各警察が注意を呼び掛ける事態となった。

 サイバー犯罪者の便乗も危惧される。国民生活センターには、スマートフォンに「マスクの無料送付」をうたうショートメッセージサービス(SMS)が届いたとの相談が寄せられた。

 情報セキュリティー会社「トレンドマイクロ」によると、こうしたSMSは2月初旬から出回り始めた。記載されたURLにアクセスすると、偽サイトに誘導され、個人情報などが盗まれる「フィッシング詐欺」被害に遭う危険性がある。

 感染拡大で知事が外出自粛などを求める緊急事態宣言を出した北海道では、マスク代金を要求する架空請求メールも確認された。

 ■法外な送料請求

 一方、インターネット通販サイトでは、マスクの価格高騰に便乗した悪質な出品が目立つ。アマゾンジャパンのサイトでは25枚入りのマスクが10円で販売されていたが、よく確認すると送料が約1万3千円。気づかず購入してしまう恐れもあり、SNS(会員制交流サイト)では、消費者から「悪質すぎる」「詐欺だ」などと批判が相次いだ。

 詐欺・悪質商法ジャーナリストの多田文明さんは「業者が、転売が禁じられる前に買い占めたマスクを売り抜けようとしているのではないか」と推測する。

 こうした状況を受けて政府は10日、インターネット上などでのマスクの転売行為を禁止するため、国民生活安定緊急措置法の政令改正を閣議決定した。

 取得価格を超えて個人や業者が第三者に販売するのを禁止し、違反した場合は1年以下の懲役か100万円以下の罰金、またはその両方が科される。11日に政令公布し、15日から施行される。

 ■子供狙う事件も想定

 個人間で物品を売買するフリーマーケットサイトでは「花崗(かこう)岩」などの石が数百円から数千円で取引されるようになった。花崗岩が放出する微量の放射線にウイルス感染の予防効果があるとするネット上の情報がきっかけになったとみられるが、産業技術総合研究所地質調査総合センターの阪口圭一さんは「花崗岩は墓石や建材に使われる石で珍しいものではない。感染症などへの有効性は確認されておらず、科学的根拠は全くない」と注意を促した。

 政府の要請で3月からは全国で小中高校の9割以上が一斉休校に踏み切った。休校中の子供たちが市街地などを出歩く機会が増え、事件に巻き込まれるリスクも想定されるため、警察庁は警察官による声かけや、パトロールの強化などを全国の警察に指導した。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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