河川や用水路でのプレジャーボートの不法係留が後を絶たない。水産庁が2023年に公表した、昨年度分の調査結果では、全国で確認できた船14・5万隻のうち約4割が放置艇だった。
国土交通省は、放置艇が災害時の洪水で流されて付近の住宅に被害をもたらすことや、密漁や密輸などの温床になることが懸念されるとして、対策について有識者による検討を進めている。なぜ減らないのか。船の「墓場」と化している現場を歩いた。
「『見事』でしょう。全部燃えないごみだから。大変です」。千葉県市川市の真間(まま)川下流。ハゼを釣りに来たという近隣住民の70代男性2人は、釣り糸を垂らしながら、あきれた表情でこう話した。
すぐそばに壊れかけた漁船が数隻あり、上流にも漁船やプレジャーボートがずらりと並んでいる。一見、定位置に係留されているように見えるが、すべて河川の占用許可を得ていない放置艇だ。
男性らによると、真間川下流に放置艇が確認され始めたのは約20年前。現在は漁船も含め30隻ほどが川岸の手製の桟橋に係留されているが、「使っているのを見たことがない」。さびた鉄パイプで作られた桟橋は、新しいパイプで補強された形跡がある。「行政がその気になれば、すぐになんとかできそうなのに」
管理する県葛南土木事務所に…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル