国外退去処分となった不法滞在外国人の収容施設で6カ月以上の長期収容者が増加している問題で、出入国在留管理庁は1日、本国への強制送還を拒否している収容者の1割が、一時的に身柄拘束を解かれる「仮放免」中に再犯を起こしていたとの調査結果を公表した。また送還拒否者の4割が過去に刑事事件で有罪判決を受けていた。同庁は治安面から、こうした収容者の仮放免を認めず、早期に送還すべきだとしている。
入管庁は不法滞在外国人を一時的に17カ所の施設に収容。本人が強制送還を拒否し、本国も受け入れない場合は収容が長期化する。
同庁によると、今年6月末時点での収容者1147人のうち、長期収容者679人を含め、本国への送還を拒否しているのは858人(75%)。うち366人(43%)が過去に薬物や窃盗・詐欺などの入管法違反以外の刑事事件を起こし、有罪判決を受けていた。
収容者は病気などやむを得ない事情がある場合、行動制限などの条件付きで仮放免が認められる。
送還拒否者のうち84人(10%)が仮放免中の再犯で有罪判決を受け、また、昨年1月から今年6月までに仮放免中に逮捕された外国人は109人に上った。仮放免中の逃亡による手配件数も増加し、今年6月末時点で332件と過去4年半で約3・5倍になった。
長期収容者をめぐっては、大村入国管理センター(長崎県大村市)で6月、長期収容に抗議して食事を拒むハンガーストライキ(ハンスト)をしていた40代のナイジェリア人男性が死亡。その後全国でハンストの動きが広がっている。
入管庁の調査では、男性は薬物事件で執行猶予付き判決を受けた後、窃盗などの事件で5年以上の実刑となり、仮釈放後に収容された。調査報告書は、起こした事件が悪質で常習性があり、仮放免は許可できず、食事や治療を拒否したため強制的な治療が困難だったと指摘。「対応が不相当だったと評価することはできない」と結論付けた。
入管庁によると、6月以降の一連のハンストに加わった収容者のうち、仮放免された36人中19人が逃亡している。同庁を所管する河井克行法相は同日の記者会見で「そもそも仮放免後の逃亡を当初から企てていた者が相当数存在する可能性も排除できない。入管行政の最後の砦(とりで)となる退去強制業務が機能不全になれば、社会秩序や治安に影響を与えかねない」と語った。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース