Re:世代論④ マーケティングアナリスト・原田曜平さん
多様化が叫ばれる現代、好みや価値観における世代間の差が縮まっているとの調査が発表され、「価値観でつながろう」との声も上がる。「世代論」は必要なのか、どう向き合えばいいのか。今こそ「世代論」を問い直し、新たな形を探りたい。
世代論といえば、マーケティングの世界からの発信が目立つ。世代をくくり、広めてきた人はどう考えているのか。「Z世代」「さとり世代」の著書があり若者研究でも知られる、マーケティングアナリストの原田曜平さん(46)に聞いた。
――多様化の時代とも言われ、人それぞれに違いがあるなかで、世代でくくることについてどう考えますか。
とても難しいですが、世代というのは一定の効果はあると思います。昔に比べて「世代論」は下火になっているように感じている人が多いと思うんです。価値観が多様化して、同じ40歳でも、環境志向が非常に高い人もいれば、そうじゃない人もいる。昔の方が世代でくくれて今の方が多様化していると感じている人が多いでしょうけど、僕はむしろ正反対だと思っていて。世代論が今こそ、効果的なものになってきた、という感覚がある。
――効果的、とは?
一番分かりやすいのが、例えばZ世代がどれだけTikTokを使っているか。その割合は50%を超えてきていますが、30~50代で見るとまだ20%ぐらいしか使われていない。
僕が若い頃は自分の親世代も若者もテレビを見ていた。トレンディードラマで名をはせた「月9」か、深夜バラエティーかという差はあるかもしれないけど、基本同じようなものを見ていたわけです。
ところがTikTokでバズるのは、テレビでは取り扱わないようなものもかなり多い。フォーマットも違うし、秒数も違うし、かかっている音楽も違うし、作り手もなんならプロから素人になっていて、全く違うものを見ているんです。
むしろ今は、世代間ギャップが最も起きている時代で、もっと世代に注目すべきだと、思っています。
――そもそも「若者」としての特徴があると思いますが、時代ごとに違う若者になるのでしょうか。
デジタル化が進んで、接しているメディアにしても摂取する情報にしても変わってきた。インターネット第一世代という意味で言うと、今の団塊ジュニアのなかの50~51歳ぐらいから変化が出ているとも言える。やはり分かりやすいのはZ世代で、初めてテレビの利用率をユーチューブの利用率が抜いた、というように相当な変化が起きている。最強のマスメディア・テレビはとうとう、Z世代にとってはマイノリティーになってしまった。これからさらに顕在化してくるでしょう。
「そもそも世代論って浅いもの」
――世代について一般的にも語られるし、私たちメディアも語りたがりますが、そもそも世代論って何のために必要なのでしょうか。
「そもそも世代論って浅いも…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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