新型コロナウイルスの感染者と死者が世界で増え続けている。米ジョンズ・ホプキンス大の集計を使って世界の状況を可視化すると、感染拡大の範囲が、これまでの先進国から新興国や途上国に広がっている様子が浮かび上がった。多くの国々が経済活動の再開や行動制限の解除に向かうなか、これから感染のピークを迎えようとしている国も多く、収束は依然として見通せない状況だ。
日本時間の29日午後8時時点で世界の感染者は累計で約1015万人、死者は約50万2千人。世界で8千人以上が感染し、約800人が死亡した重症急性呼吸器症候群(SARS)や、800人以上が死亡した中東呼吸器症候群(MERS)と比べても今回は規模の大きさが際立っている。
世界各国の累計感染者数を2カ月前と現在とで比べると、感染拡大の局面が大きく変化したことがわかる。4月下旬には感染者の多くが欧米に集中していた。世界の感染者の約74%を先進国が占め、米国やスペイン、イタリアで感染者が多かった。
現在は状況が大きく変わっている。累計感染者数が最も多いのは米国のままだが、新興・途上国で感染者が急増し、ブラジル、ロシア、インドといった人口の多い国々が続く。拡大が目立つのは中南米や南アジア、中東の国々だ。欧米に集中していた感染が、この2カ月間で世界各地に広がった。
各国の100万人当たりの死者数(1日当たり)で見ると、4月下旬には、死者が最も多い15カ国をすべて欧米の先進国が占めていた。最多のベルギーのほか、アイルランドやスウェーデンなどでも死者が多く、人口が多い国に限らず感染が深刻化していたことがわかる。
だが、6月下旬になると、死者が最も多い15カ国のうち12カ国が新興・途上国に入れ替わった。チリやメキシコ、ペルーなど、感染が急拡大している中南米の国々が目立つ。一方、米国やスウェーデンも含まれており、依然としてこれらの国で感染拡大が深刻であることを示している。
現在は中南米で急拡大 今後はアフリカで懸念
世界を七つの地域に分けて1日当たりの感染者数を比較すると、現在最も多いのが中南米だ。急速に感染者が増え続け、世界全体の3分の1ほどを占めるまでになった。ブラジルなどの大国に限らず、広く中南米諸国で感染者は増加の一途をたどっている。
アジアや中東でも少しずつ感染…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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