固唾(かたず)をのんで観客が見守るなか、シーソーのように揺れる台座によじ登る。
その上に立ち、手にした3本のナイフをお手玉のようにジャグリングすると、会場に「オーッ」と歓声が広がった。地元の広島県福山市で11月にあったイベントに招かれ、披露したバランス芸の一幕だ。
今年の春、高校を卒業して、プロの大道芸人として本格的に活動を始めた吉原颯太さん(19)。大道芸の魅力に引き込まれたのは、小学3年のときだ。
地元のお祭りで、「ディアボロ」と呼ばれる中国ごまを、ひも付きのスティックで操る芸人に出会った。くるくると回転するこまを高く放り上げて、背中で受け止めたり、足の下をくぐらせたり。自在な技を目にして、「ただ、ただ、かっこいいと思いました」。
旅費を稼ぎつつ、欧州やアジアの街頭で
会場に体験コーナーがあり、その日は夕方まで練習を続けた。翌日も出かけ、こまを手放さない様子を見て、母親が「そんなに好きなら」と、こまとスティックを買ってくれた。自宅前の路上で練習を重ねた。
人前で演じたのは小学6年の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル