2022年3月31日。
神奈川県在住の漫画家・緑丘まこさんにとって、忘れられない日だ。
30代後半で妊娠し、もうすぐ13週という日で、アルバイト後に下腹部に違和感があった。
駅のトイレで確認すると、うっすら出血していた。
初めてのことだったが、ネットで調べるとそんなに珍しくないと書いてある。
痛みがなかったので大丈夫かと思いつつ、かかりつけの産婦人科に電話して状況を説明した。
「念のためこれから病院に来られますか?」
胸騒ぎを抑えながら病院へ向かい、診察を受けた。
エコーでおなかの赤ちゃんを診てもらったが、心拍が確認できず「稽留(けいりゅう)流産」と告げられた。
12週より前に心拍が止まっていたようで、染色体異常による流産の可能性が高いという。
医師からは「だから、どうか自分を責めないで」と言葉をかけられた。
そして、赤ちゃんを取り出す方法についても提案があった。
ある程度大きく成長しているため、母体へのリスクを考えると自然と出てくるのを待つより手術の方がいいだろう、と。
その場では決心できず、考える時間をもらって帰宅した。
◇
3日後の夜、強烈な腹痛が繰り返し襲ってきた。
出血の量が増え、痛みもどんどん強くなっていく。
自然排出を経験した人のブログには「生理痛の何十倍」と書かれていたが、その通りだった。
日付が変わって午前3時過ぎ、仕事で疲れて眠っていた年下の夫に声をかけた。
「赤ちゃん、もうすぐ出てくるかもしれない」
痛みの中、ほんの一瞬だけ「…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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