TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。4月21日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、ジャーナリストの福島香織さんが、新型コロナウイルスに乗じた“中国の動向”について述べました。
◆中国共産党政権が台湾、南シナ海を脅かす……
中国海軍の報道官は、空母「遼寧」など6隻が南シナ海の関係海域で訓練を実施したと発表。アメリカやフランスの原子力空母の乗組員が、新型コロナウイルス感染によって影響を受けるなか、遼寧艦隊の航行について中国メディアは「人民解放軍が感染の制御に成功し、作戦行動に支障がないことを示す狙いがある」と報じています。
新型コロナ問題の一方で、安全保障に関しての動きが活発に。その1つが中国共産党政権で、「世界でみんなが困っているところに乗じて、やり方がちょっと卑怯。特に、台湾に対してのやり方はえげつない」と福島さんは言います。
現在、中国では台湾武力統一論が再燃しており、国務院の台湾事務弁公室は武力統一をいつ開始すべきかの文書を発表。さらに、東部戦区の陸軍は公式アカウントで“幻想を捨て、戦闘の準備をせよ”という毛沢東の言葉をタイトルにした発信も。これまではアメリカが台湾の国防の後ろ盾を担ってきましたが、アメリカ国内に加え海軍にも感染が広がっており、「事実上インド・太平洋の国防力は低下している」と指摘します。
そして、福島さんがもう1つ「やり方がえげつない」と話すのは“南シナ海”を巡る状況。そこには軍事要塞化している島々や領有権を争う島々がありますが、中国はその島々と海底にある地形に新しい名前を命名。さらには、海南省・三沙に“南沙区”、“西沙区”という南シナ海の島の行政区分を勝手に発表するなど、「いつの間にか南シナ海はウチの領土と発表した」と福島さん。
世界がいまだ新型コロナに悩まされるなか、その端緒となる武漢があり、他国に先駆け終息しかけている中国のこういった行動に、「国家として軍事戦略上、正しいやり方なのかもしれないけど、これが国際社会で責任ある大国を目指すと言っている国のやることなのか、本当に腹立たしく思う」と憤ります。
◆新型コロナの危機は国際政治上の危機も呼び込む
日本でもつい先日、領空侵犯のおそれのある航空機に対しての緊急発進があったそうですが、福島さんは「こういうときこそ、国境や領土が犯される可能性が高まる」と言います。そして、「新型コロナの危機は公衆衛生災害という面だけでなく、国家安全保障などの国際政治上の危機も呼び込む可能性がある」と主張。
ただ注意すべきは、これはあくまで“中国共産党政権”の話であり、“中国国民”ではないこと。「中国人民もまだ感染が収まっていない。普通の人たちが苦しんでいるときに、国家として外国にちょっかいを出す場合ではないのはみんな思っている」と福島さん。
令和メディア研究所主宰で白鴎大学特任教授の下村健一さんは、「中国政府だけじゃないってところが気になる」と言います。今は各国が自国中心にならざるを得ず、そうすると国際平和のための大きなファクターとなる相互依存が低下。「軍事増強以上に、ある意味助け合うことが抑止力になる。これが低下しているということは戦争回避メカニズムが弱りつつある」と指摘します。
一方で、国内不満が高まり、トランプ大統領などは外敵を作ろうとしているそうで、これもまた戦争回避メカニズムを弱める要因に。この2つが同時に各国で進行していくことに関して、下村さんは「かなりナーバスになる必要があると思う。普段の検証以上に当事者意識を持たないと危機的」と案じていました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース