世界3周トラベラーが指南 海外の必携品はこれだ

 さあ、夏休み。世界一周旅行を3回経験したトラベラーで、「旅のコンシェルジュ」を自認する六本松蔦屋書店(福岡市中央区)の森卓也さん(44)に、海外旅行の心構えやおすすめの場所を指南してもらった。

 森さんは2日間の休みがあれば、間違いなく海外へ飛ぶ。まるで東京へ行くかのように。3日あれば当然だ。「全然行けちゃいますよ。先日はロシアのウラジオストクまで行きました。隣国ですし、福岡から1千キロちょっとで、札幌へ行くよりも実は近い」

 普段は六本松蔦屋書店で旅にまつわる相談や雑談に応じている。35歳で1年、37歳で2年かけて世界を渡り歩いた。お金はかけずに時間をかけた。

 3回目は昨年、15日間の休みを奪取して敢行した。格安チケットを駆使しつつ、より効率のよい旅路を探り15カ国に足を運んだ。

 これまでに訪れた国は127国に及ぶ。「自分が変わります。自由で寛容になる。景色や食べ物だけではなく、心の有りようを味わうことができるのは旅ならでは」と実感する。

 モンゴルの草原では、世界最長ともいわれる12~25キロにおよぶ競馬を見た。騎乗するのは体重の軽い子供たちで、ゴール間近で倒れ込む馬も目の当たりにした。ほれ込んだのはイランの人たちの温かさ。「メシ食ったのか」「お茶していけば」と頻繁に声をかけられ、客人をもてなす精神に深く触れた。

 働き方や休み方、暮らし方から生き方に至るまで、日本との違いに心揺さぶられる経験もまた、旅の醍醐(だいご)味だ。「尺度が少しずつ変わっていく。日本だけじゃないんだという選択肢のあることは、人生の豊かさにもつながるのでは」

 ちなみに海外旅行の必携品は、特になし。あえて言うなら「帽子」だとか。「アジア圏では特にそう。疲れ方が全然違いますよ。化粧品? お友だちや家族とシェアしましょう。というかなくてもいいのでは」

 おすすめは自分用の南京錠。ロッカーがあっても、ホテルの従業員がマスターキーで開けてしまうこともあるからだ。その一方で、こうも言い切る。「そもそも、盗まれていいものしか持っていかないこと」

 数字、ありがとう、おいしい、すいません、いくらですか……。「それだけは現地の言葉で覚えるといい。相手の態度がきっとやわらぎますよ」。この夏、海を渡るすべての人の背中を押す。(谷辺晃子)

この夏、おすすめの海外は?

 まずは、フィリピンの南西部に位置する南シナ海に浮かぶパラワン諸島北端のエルニドだ。澄んだ海の広がる秘境で、「新しい空港もできたのでアクセスがよくなった。安く行くなら乗り合いバスが一番。6時間ほどかかりますが」。

 中国・山東省の世界遺産で、標高約1500メートル級の泰山もおすすめだという。延々と続く7千段の石段を登り切ると、眼下に絶景が広がる。「名物のねぎクレープは辛いです。実はバスとロープウェーで上まで行けちゃうんですけどね。これ、内緒ですが」

 約9300キロのシベリア鉄道の起点でもあるロシアのウラジオストクは、ヨーロッパの街並みを体感できる。ベトナムのダナンの南で、かつて日本人街のあったホイアンや、ピアノの音がどこからか聞こえる別名「ピアノ島」の中国・コロンス島もおすすめだ。

 気になるのは治安だが、心がけてほしい点は次の二つ。「好奇心でスラム街などへ行くのは避けてほしい。インターネットで調べ、地元のホテルの人に聞けば危ない場所は分かります」


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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