TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。12月17日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士ドットコムGMで弁護士の田上嘉一さんが、中国とASEAN間の“南シナ海問題”について見解を述べました。
◆中国 南シナ海進出の狙いは?
アメリカのエスパー国防長官は11月18日、中国の魏鳳和(ぎほうか)国務委員兼国防相と訪問先のタイ・バンコクで会談し、南シナ海や台湾、香港などを巡る問題について協議しました。会談後、エスパー氏は「とても良い協議だった。頻繁に対話を継続することで合意した」と語ったものの、具体的な内容には触れませんでした。
現在、中国は南シナ海の岩礁に建築をおこなうなど軍事拠点化を進めており、なかには3000メートル級の滑走路を作っている状況と田上さん。
そして、中国が何故こうした動きを推し進めているのか、時系列の年表を元に解説していきます。
中国は、ベトナムと軍事衝突した1988年に、南沙諸島のファイアリー・クロス礁、ジョンソン南礁に進出します。そして、「1992年に、中国の国内で“ここは中国の領土である”という法律を一方的に自分たちで決めた」と田上さんは言います。その後、ミスチーフ礁など占拠を進め、1996年には「国連海洋法条約」を批准。
2002年に「ASEAN諸国、いわゆる東南アジアの国々は、中国の進出は怖いので話し合いをしましょうということで、ASEANと中国間で『南シナ海行動宣言(DOC)』を発表した」と説明。但し、この時点では法的な拘束力はなかったため、「あとで公的な拘束力となる『行動規範(COC)』を作りましょうと言っていたが、中国はそれを嫌がっていた」と補足します。
そして中国は、2014年に南沙諸島にて大規模な埋め立てをしたり、ベトナム領域の西沙諸島では海底掘削プラットフォームを設置したり、南シナ海は常に中国の船が遊弋(ゆうよく)しているような状態に。
大きく動きが変わったのは、2016年。常設仲裁裁判所が、「中国の領有権はない」とするフィリピンの主張を認め、仲裁判断を提示しました。
国連海洋法条約に基づく定めでは、“高潮時にも水面上にあるか、否か”“人の居住・独自の経済的生活を維持することができるか、否か”によって、「島(領海、接続水域、大陸棚、排他的経済水域が認められる)」「岩(領海のみ認められ、大陸棚や排他的経済水域は認められない)」「低潮高地(領海、接続水域、大陸棚、排他的経済水域の全て認められない)」に分類されます。
中国が、南沙諸島に建築した岩礁の数々は「全て『岩』もしくは『低潮高地』であって領海ではないという判断がなされた。例えば、『岩』や『低潮高地』を人工島で固めても領土とは認められないというのが、国連海洋法条約の判断」と田上さん。
中国は常設仲裁裁判所の判決に対し、当初は反発していたものの態度に変化が。2017年には、これまで拒んでいた「行動規範(COC)」の枠組みを承認し、議論を主導し始めます。さらに、2018年には李克強首相が3年以内に行動規範(COC)を策定すると表明し、積極性を見せています。
その狙いについて、田上さんは「中国はルールを無視するのではなく、(自国にとって有利な)ルールを自分たちで作ろうとしている」と指摘。そのルールとは、「国連海洋法条約の適用外とすること」のほか、「域外国(日本とアメリカを想定)との合同軍事演習や共同資源開発の制限」など。これにより、「日米を排除し、自分たちが東南アジアとともに(合同軍事演習や共同資源開発を)やると。中国は自分たちに有利なルールを作って、南シナ海を支配することを目指している」とも。
それだけに、「日本も、本来はもっと絡んでいくべき」と主張し、「そうしないと、次は東シナ海に進出してくる。『喧嘩しろ』と言っているわけではなく、こうしたところにちゃんと入っていかないと、気づいたときには全てが(中国の思惑通りに)埋められているということになりかねない」と危惧していました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
Leave a Comment