金塊を売りに来た中国人たちが提示した身分証は偽物だ――。そんな国税当局の認定で、金の買い取り業者が約5億9千万円の追徴課税を受けたことがわかった。業者側は「偽物だと見破るのは困難だ」と主張し、課税処分の取り消しを求めるという。
課税処分を受けたのは東京都台東区の「アステリア」=今年4月に解散。
関係者によると、同社は主に中国人らから金の地金(じがね)を買い取り、大手業者などに転売することで利益を得ていた。買い取り時には、本人確認のために中国人たちに身分証明書の提示を求め、在留カードのコピーなどを保管していたという。
ところが、税務調査に入った東京国税局は、同社にコピーがあった中国人客ら約70人分の証明書のほとんどを「偽物」と判断。取引時には日本にいない人のものが含まれるなど、実際に訪れた客のものだと認めなかったとされる。
追徴課税を受けた約5億9千万円の大部分は、こうして身分不詳と判断された中国人たちに対し、業者が買い取り時に支払ったとする消費税分だ。
消費税は、売上時に受け取った税額から、仕入れ時にかかった税額を差し引いた金額を納める。仕入れ時の税額を差し引くことが認められるのは、仕入れ先の氏名や取引の年月日などを記した帳簿を保管している場合だ。
同国税局は偽物と認定した身分証明書のうち、繰り返し取引するなどした十数人分について、仕入れ先の氏名を正しく帳簿に記載しておらず、仕入れ時の税額を差し引くことはできないと判断。調査対象とした2017年12月~18年10月の約11カ月間について、同社が事前に差し引いて納めていた消費税では足りないとして、過少申告加算税を含め約5億9千万円を6月に追徴課税(更正処分)した。
一方、同社の社長だった男性(36)は取材に、「身分証明書が本物かどうかまで確認する責任を業者が持たなければならないのか」と処分への不満を語る。
身分証明書のコピーの保管は、仕入れ時の税額を差し引ける要件に昨年10月から含まれた。課税処分の対象となった取引時は義務づけられていなかったが、古物営業法などでも求められることや、密輸品を扱っていると疑われないようにと税理士の指導もあって実施していたという。
男性によると、同社は課税処分…
2種類
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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