森下裕介、田中章博
大阪府泉南市の添田詩織市議(33)が7月の市議会定例会の一般質問で、中国人に対する差別的な発言をしたとして、市議会が謝罪と反省を求める決議をした。添田氏は12日、「決議の手続きは市議会規則に反しており違法だ」として、市議会の広報誌に決議内容を掲載しないよう求める仮処分を大阪地裁に申し立てた。
添田氏は7月7日の一般質問で、市が採用している国際交流員について取り上げ、「市民目線でいえば、中国籍の方が就くのは大丈夫か、ありえへん、怖いという声がある」と述べた。市教育委員会によると、国際交流員は市内の小中学校に通う外国人の児童・生徒への通訳や異文化交流の授業を担当し、4人のうち1人が中国出身だという。
添田氏の発言について、山本優真市長と冨森ゆみ子教育長は、国連の人種差別撤廃条約に違反し、ヘイトスピーチ対策法が定める「不当な差別的言動」にあたるとして、田畑仁議長に抗議文を提出した。人権団体からの抗議も相次ぎ、市議会は7月26日、添田氏に謝罪と反省を求める決議を全会一致で可決した。
一方、添田氏はこの決議が実質的な懲罰にあたると主張。懲罰動議について「事案の発生から3日以内に提出」と定めた市議会規則に違反するとして、広報誌「議会だより」に掲載しないよう求めた。12日の申し立て後に行った記者会見では、自身の発言について「市民の懸念を代弁したに過ぎない。市民の暮らしと安全を守るためのもので、差別やヘイトというのは筋違いだ」と主張した。
添田氏の申し立てを受けて、山本市長は取材に対し、「市民の声だとしても、個人を特定される形で公の場で取り上げ、不当な差別を助長する恐れがある」、田畑議長は「法的手続きを取るのであれば反論していく」とコメントした。(森下裕介、田中章博)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル