未来のために、過去を知る責任がある。
前橋市の公民館で毎月1回のペースで開かれている学習会がある。日本が中国東北部につくった傀儡(かいらい)国家、旧満州国(1932~45年)の歴史や日本からの農業移民などを学ぶ「群馬満蒙開拓歴史研究会」だ。
元満州移民やその子や孫たち、研究者らに交じって、京都市から参加する大学生がいる。立命館大学国際関係学部3年生の下田千倖(ちゆき)さん(21)。大学では東アジア、特に中国について学んでいる。少数民族や現代の移民などに関心があるという。
前橋の学習会に参加するきっかけは、1年生の冬、日中友好について両国の学生たちが議論するイベントに参加したことだった。「日本の若者は自国の歴史や政治に無関心で無責任。だから日本人と仲良くしたくない人もいる」。中国人学生の発言に、ハッと気づかされた。
「未来だけをみていた。過去があるから今があり、未来につながるのに」。日本はかつて中国を侵略し、満州国をつくった。日中戦争では中国大陸で多くの犠牲者を出した。「戦後世代に戦争の責任があるかどうかは分からない。ただ、過去を知る責任はある」
下田さんは長野市の出身。長野県は満州に開拓団を積極的に送り出し、農業移民の人数は全国最多だった。下田さんが生まれたときにはもう亡くなっていた曽祖父母は、満州からの引き揚げ者だと、家族から聞いていた。
曽祖父は旧信里(のぶさと)…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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