国の特別天然記念物ライチョウが絶滅した中央アルプス(長野県)で今夏、環境省が「個体群復活作戦」を展開する。5年後に約100羽まで増やして完全復活を目指す。絶滅危惧種では外来種を持ち込んで復活したトキやコウノトリの例はあるが、在来の個体での試みは極めて珍しい。
ライチョウは本州中部の高山帯に生息。1980年代の調査で約3千羽だったが、現在は2千羽以下まで減り、種の存続が危ぶまれている。同省は2014年から保護・増殖に取り組み、生息数回復を目指している。
ライチョウの生態は未解明な部分が多い。パズルのピースを埋めるような作業の連続で保護、増殖が図られてきた。
北アルプスの乗鞍岳から野生の卵を動物園などの施設に搬送して人工孵化(ふか)に取り組んだり、野生のヒナの生存率を高めるために南アルプスの北岳でケージを使って家族を保護したり。試行錯誤の末、北岳周辺で8なわばり(雄・雌のつがい)まで減っていた生息数を、80年代の半数を超える35なわばりまで回復させた。
中央アルプスでは69年以降にライチョウの目撃情報がなく、絶滅したとされてきた。2年前、1羽の雌が確認され、調査の結果、近隣の乗鞍岳か他の北アルプスから飛来した個体と判明した。
昨年6月、飛来した雌が産んだ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル