笠原真
東京都は20日、土地取引の指標となる基準地価(7月1日時点)を公表した。都内全域の平均変動率は前年比1・7%のプラスで、10年連続の上昇となった。コロナ禍による行動制限などが影響し、昨年9年ぶりにマイナスだった都内商業地もプラスに転じた。続く上昇傾向について、都は「東京は政治経済の中心地であり、物価が高くなる中でも土地の需要は底堅い」とみている。
都は都内1285地点を調査し、各地点の地価を毎年公表している。昨年、前年比で地価上昇したのは433地点だったが、今年は1041地点に増加。下落地点は昨年の365地点から57地点に減った。全体の上昇率で見ると、区部は2・2%、多摩地区は1・1%だった。
商業地は2・0%の上昇。昨年は0・3%の下落だった。区部は2・2%(前年は▼0・3%)、多摩地区は1・5%(同0・0%)で、区部の上昇が目立った。商業地の地価でコロナ禍の影響を特に受けてきたのは都心部だったが、昨年はマイナスが目立った千代田、港、新宿の各区も今年は上がった。
23区で唯一上昇しなかったのは中央区。前年比0・0%(昨年は▼1・9%)だった。都の担当者は「回復傾向にはあるものの、これまで都心部の地価上昇に寄与してきたインバウンドや飲食店の需要が、十分に戻っていない(ことが影響している)」とみる。
住宅地は都内全体で1・5%の上昇(昨年は0・2%)。区部で上昇率が最も高かったのは中央区(4・0%)で、有楽町線と大江戸線があって便利な月島、東京五輪・パラリンピックの選手村だったマンション群がある晴海などのエリアが人気で、上昇を支える。これに続くのは、電車の主要路線が多く利便性の高い新宿区(3・7%)、中野駅前の再開発が進む中野区(3・3%)など。多摩地区では国立市(2・7%)や武蔵野市(2・6%)も堅調だった。都担当者は「いずれも中央線沿線で都心部へのアクセスが良い。武蔵野市は吉祥寺というブランドもあり、人気が根強い」と話す。
住宅地で下落したのは、多摩地区の東大和市や日野市などの地点。斜面造成地や駅から離れた場所が主に下がったという。こうした場所では人口減少や高齢化が進んでいるという。(笠原真)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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